Hisami

Mar 10, 20205 min

アムステルダム日本語教師塾

アムステルダムの街中の桜です。

若い同僚兼友人がWhatsAppで送ってくれた写真です。

私を含め4名をコアにしてアムステル近辺のフリーランス日本語教師の仲間と「日本語教師塾」を開いています。

フリーランスで日本語を教え始めた当時、オランダには日本語教師の公式なグループ・組織がなかったため、ベルギー教師会に参加していました。そこでお知り合いになったオランダ在住の先生方からオランダにも勉強会のようなものがあるということを聞き、ちょっとビビりながら参加させてもらいました。なぜビビっていたかというと、ベルギー教師会はルーヴァン大学の先生方が中心のアカデミックな会。いかにも大学の先生の集まりという感じで、一塊のフリーランスにはちょっと敷居が高い感じだったからです。

この勉強会は2017年から正式にオランダ日本語教師会(ONK)となり、年に数回講演会や勉強会を開くなどオランダの日本語教師を支える活動を続けています。今までの講演会では冒険家の村上吉文先生、米プリンストン大学の佐藤慎司先生、私の尊敬する細川英雄先生(日本語教育界の哲学者、教育者!)、白井恭弘先生(『外国語学習の科学』岩波新書)といった素晴らしい先生方のお話を直に聞くことができ、革命家今井新悟先生(『いちばんやさしい日本語教育入門』)ともお友達になれました。

これからもフリーランス、高等教育機関勤務に関係なく、一人でもオランダの日本語教師が会に参加してくれればいいなと心から願っています。

いくつかの講演会や勉強会に出席して感じたのは、フリーランスと高等教育機関勤務の日本語教師は仕事をする環境が違うので同じページで話し合うことがなかなか難しいということ。

「今日の日本語教育」といったテーマでも、そのテーマの前提になっているのは大抵が高等教育機関(大学での日本語教育)。「教え方」がテーマでも教える対象は大学生、大学での教え方ということもしばしば。「日本語教育」という根本の部分では共通することも多いので、たとえ高等教育機関での話でも役に立つことは多いのですが、やはりフリーランスならではの問題、気づきをシェアしたい!という思いが強くなっていったのが今から2ー3年前のこと。

さて、2017年の夏期集中コース1クラス5名から始まった日本語コースが、1年後には私一人では手が回らなくなるくらいにまで育ち、新らしい日本語の先生が必要になりました。

ONKを通じて募集もできたのですが、プライベートレッスンで何人かのベテランの先生にお願いした経験から、マネージャーがグループレッスンは経験がなくてもいいので若い先生にお願いしたいというリクエストがあり、先生探しとその教育を任されることになりました。

すぐに思いついたのが、ONKで仲良くしている紀子ちゃん。福岡生まれの元気でまっすぐな先生。AmstelveenのVolksuniversiteit(市民大学)で教えています。若いけれどしっかりした基礎があって、頼りになります。日本語を教える基本的な姿勢に共通することが多いためか、二人が揃うと居酒屋でビールを飲みながら(紀子ちゃんはさすが九州女子、お酒が強い!)日本語教育談義で盛り上がります。一緒に仕事ができればこんなに嬉しいことはないのですが、小さいお嬢ちゃんがいるので週のうち幾晩も家を開けることができないため、泣く泣く他を当たることに。

ネットで検索してみると、オンラインで日本語を教えているオランダ在住の日本人が何人か見つかったので、直接メールしてみました。会ったことも喋ったこともない人からいきなりメールが来て「お仕事しませんか」というのはどう考えてみても怪しくて、私だったら無視するかも・・・と思うのですが、それでも早速お返事をくれたのがえいこちゃん。この記事の最初に載せた写真を送ってくれた先生です。話をしてみるとグループレッスンはあまり経験がないけれど、なんともいい感じです。マネージャーも気に入ってくれて、即クラスを持ってもらうことに。(ちなみに私の場合もそうでしたが、模擬レッスンなんていうのはありません。インタビューがあって、あとはよろしく!です。)

いくらプライベートで数年の経験があっても、グループレッスンはやはり別物。『げんき1』どう教えるかをえいこちゃんと話し合っているうちに、それまでにも教え方をよく話し合っていた紀子ちゃんの知識と経験を活用したくなり、みんなの知識と知恵と経験をシェアする目的で『日本語教師塾』を昨年から始めました。えいこちゃんの後にお仕事をお願いしたY子さんも常連さんです。実際に会うことはなかなか難しいのですが、Zoomを使えばみんな自宅から参加可能です。

今までの経験は違っていてもフリーランス教師同士共感することも多く、いろいろ話していると時間があっという間に過ぎてしまいます。特定の文法項目の教え方(英語での説明の仕方)、教科書の問題点をどうカバーするか、クラスコントロール、ちょっと難しい学習者(とんでもない質問をしてくるとか・・・)への対応の仕方、いろいろ話すことがあります。

フリーランス同士だと、仕事の取り合い、縄張り意識なんかからお互いを牽制し合う(犬みたいですが)こともあるのですが、この若い同僚たちはみんなオープンで、持っているものを惜しみなくお互いシェアしてくれます。

One gains. All gain. 仲間がいるって本当に素晴らしいことです。感謝しています。

次はこの頼りになる同僚と一緒に2ヶ月に1度開いている日本語イベントのお話をしましょう。

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