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  • Writer's pictureHisami

今年を振り返って〜パート2

(パート1からの続き)

そしてウトレヒト大学での講義と前後して、もう一つとてもおもしろく、かつチャレンジングなお仕事をいただきました・・・・・


その「おもしろく、かつチャレンジングなお仕事」はESA ESTEC(欧州宇宙技術センター)の技術研究者の方たちを対象にワークショップを行うというもの。


(誤解がないように付け加えると、ESTECが私を指名してくださった訳ではなく、夫のネットワークから私に話が回ってきただけです。)


技術提携をしている日本の宇宙技術センターの技術者と数年に渡って仕事をしているのだけれど、どうもコミュニケーションがうまくとれていないようだ、質問をしても返ってくる答えがYesなのかNoなのかよくわからない・・・・ということなんです。


あまりにも典型的で笑ってしまいました、思わず。

これが笑えたパート。


チャレンジングなパートは、このワークショップが「日本に行く前にこんなこと知っていると役に立つかも」レベルの話ではなく、「現実にすでに問題があって、その問題を解決するための実践的な提案、アドバイスが必要」だということ。


ワークショップは1回2時間、一週間に1回計3回。参加者は8名。


ワークショップ1回目は日本人の心理や考え方に影響を強く与えている日本の宗教や文化、歴史的背景を説明するつもりだったのですが、初っ端から私の思惑を木っ端微塵に打ち砕く状況に遭遇しました。


参加者に自己紹介をお願いして一人一人自分が経験した(もしくはしている)コミュニケーションの問題を具体例としてあげてもらったのですが、例をあげるだけに止まらず、質問、解決法、アドバイスを求める声が次々と飛び出してきました。

数年に渡って「不思議な日本人たち」を相手に日々フラストレーションを募らせてきている参加者を相手に、日本の宗教だの文化なんていうものをのんびりと説明している場合じゃない、ということに気付かされることになりました。


私が提供しようとしているものと、相手が求めているものが明らかに違うという状況に遭遇したわけですが、ここで役に立ったのはカスタマーサービスの精神。

お客様が求めているモノを与えることがカスタマーサービスでは最も大事なこと。

参加者は実際のケースに対する実践的なアドバイスを求めているわけですから、わたしが何を提供したいかはさておき、お客様の要望に答えるためにワークショップ開始30分後には全てのアジェンダを大きく変えざるをえなくなりました。

スライドの順番を変えたり、準備したスライドを使いながらも3回目のワークショップに予定していたことを話したり。

前もって質問を受け取ってはいたのですが、話が進むことで質問もより具体的になってくるので、アドバイスにもより具体性が求められることに。笑顔で質問を受け付けながらも頭の中はフル回転です。アドレナリン全開です。


本当にスリリングな2時間でした。


1回目が終わった時点で「大したことなかったからこれで終わり」と打ち切りになったり、参加者の大半が「参加する意味ないし」となってしまうことも想定していたのですが、一人の脱落者もなく3回のワークショップを無事終了することができました。


2回目のワークショップでほぼ全ての問題が出尽くし私からのアドバイスや提案も終わり、最終回の3回目ではボーナスとして(初回ワークショップに予定されていた)日本人の宗教的、文化的、歴史的背景に関するプレゼンをしたのですが、私のアドバイス、提案を裏付ける役割を果たすことになり、初回に大きく内容変更をしたのはやはり正しかったことがわかりました。


ワークショップを終えて感じたことは、わずかな時間で判断と決断が求められる状況では「思考」というのはあまり役に立たないものだということ。

経験の中でいつの間にか培われた「直感」、もしくはDNAの中に組み込まれた新たなプログラミングみたいなものが勝手に動いてくれているような「感じ」です。これが経験値っていうものなのかと思います。


参加者から「2年前にこのワークショップをして欲しかった」というコメントをもらえたときには、心からほっとしました。

5歳児が「初めてのおつかい」を無事に終わらせた時のような気持ち、かな。



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