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Writer's pictureHisami

教師冥利につきること

Updated: Mar 7, 2020


2年前に語学学校で教えていたオランダ人の学習者から連絡をもらい、久しぶりに会うことになりました。

彼はアーティストなのですが、アムステルダム中央駅の近くの公立図書館OBAで彼の作品が展示されているので、ぜひ見に来てほしいとのこと。行ってきました。上の写真がその作品です。

写真ではわかりにくいのですが、結構大きいんです。5mx1.5m。全体像はこんな感じ。

アップリケと刺繍からできています。これが彼のアート作品です。2ヶ月かけて500人の佐賀市の方たちと一緒に作り上げました。


プロジェクトのことを新聞で読んだり人づてに聞いて、自分からボランティアに来てくれる人もたくさんいたようですが、時には知り合いになった日本人に「私はアーティストです。刺繍をします。一緒に刺繍をしましょう。」と日本語で声をかけてワークショップに来てもらうこともしばしばあったとのこと。部分部分を完成させた一人一人の名前は忘れてしまっても、その部分を見るとその人のことを思い出すそうです。ですからこの作品には500人分の思い出が詰まっています。話を聞きながら、佐賀での2ヶ月は彼にとっても、彼に会ってこの作品に参加した500人の人にとっても忘れられない思い出になったことを感じました。


こんな時です、私が「日本語教師っていい仕事だなぁ」としみじみ思うのは。だって、忘れられない思い出を作るお手伝いができるんですから。


オランダで日本語を習っている人たちって、どんな人が多いんですか?ビジネスマンとか、将来日本の企業で仕事がしたい大学生とか?と聞かれることがあります。そういう人たちも中にはいますが、圧倒的多数は「日本に興味があって、日本料理が好きだったり、日本のアニメやドラマ・映画が好きだったり、純粋に趣味で勉強している人」なんです。


私はそういった人たちの「好き」をサポートしていきたいと思っています。なぜって、「好き」はとても大切なことだと思うから。


大人になれば人生いろいろ大変なことがあって当たり前です。そんな中で好きなものがある人、好きなことをしている人は自分の中にオアシスを持っています。そこへ行けばちょっとだけ元気がでて、また明日も頑張ろう、と思えます。


プライベートレッスンをしていると、学習者といろいろ個人的な深い話をすることもしばしばあります。直接アドバイスを求められることはありませんが、いつの間にか人生相談になっていることも。実際に、私の日本語のレッスンはセラピーなんです、と学習者に言われたこともあります。私のレッスンが「オアシス」になっているのかもしれませんね。


日本語を学ぶことがきっかけとなって、学習者の毎日が少しでも楽しくなり人生が少しでも豊かになるなら、こんなに嬉しいことはありません。


アーティストの彼は、佐賀に帰ってみんなに会って話をしたいのでまた語学学校で日本語のコースをとるつもりだそうです。




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