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  • Writer's pictureHisami

語学教師のカップル


うちの夫は英語教師です。


妻の私が言うのもなんですが、夫はものすごくいい先生です。元生徒の私が言うんですから間違いなし!(笑)


夫は大学で心理学を勉強したのですが、「心理学」という学問にがっかりしたのとエジプトに住んでみたいという気持ちから、大学卒業後に英語教師になるコースを受講。資金稼ぎのアルバイトをやっていた時期を除いて、ほとんど40年近く語学教師一筋で生きてきました。

その間に住んだことがある国は日本を含め10カ国以上。


本人が望めば語学学校やエージェンシーのマネージメント職にもつけるだけの実力もキャリアもあるのですが、本人は断然教えるほうが好きで、デスクワークなんてまっぴら御免なんだそうです。


夫とは私が日本脱出を目論んで、英語のブラッシュアップのために通い出した英語学校で出会いました。私のクラスの担当ではなかったのですが、フリーカンバセーションの時間で教室にポツンと座っていたのが夫。当時、私は常勤日本語講師として大阪のECCに勤めていて、かなり数多くの英語講師を知っていましたが(なんちゃって英語講師が多いんです)、語学教師の直感で「この先生はホンモノ!」とすぐにピン!ときました(注:『恋に落ちた』とは別物です、念のため・・・)。


私がアムステルダムで個人事業主として小さな会社を作り、日本語を本格的に教え始めた時に、夫として精神的に支えてくれただけでなく、同業者としてたくさん貴重なアドバイスをくれ、ネットワーキングを手伝ってくれました。


今でも私たち夫婦の会話の多くは、教え方についてや自分のクラスや生徒について。

昨日もこんなことがありました。


げんき1の12課では「ので」が導入されます。「から」は9課で学習済み。学習者から「ので」と「から」の違いについての質問が出ることは当然予想できます。

「から」は主観的理由、「ので」は客観的原因なのですが、それを英語でどうクリアに説明するかが問題です。


私:「"reason"と”cause"って違うよね。」

夫:「とってもよく似てるけどね。causeの方は客観的な事実関係。cause & effectだから一種の法則みたいな。」

私:「この二つの違いを示すいい例文ってなんかある?」

夫:「う〜ん。」

(しばらく二人で考える。)

私:「オランダの冬がだんだんマイルドになってきている大きな原因の一つは地球温暖化だけど、これは理由じゃないよね。」

夫:「確かに!それはいい例だね。」


私の知っているカッップルは国籍も職業も様々。例えば、二人揃って料理を作ったり食べることが大好きで、話題のほとんどは食べ物のことだったり、二人とも同じスポーツが好きというカップルや、二人ともアーティストというカップルもいます。


夫と私は性格も嗜好も全然違うのですが、二人揃って語学教師、二人とも人間が好きで自分の仕事が好き、という共通点があります。日々の生活の中ではっきりと話合ったり意識したことはありませんが、もしかしたら共通の価値観を持っているのかもしれません。そして、この共通の価値観が私たち夫婦のベースにあり、このベースが肥沃な土壌のような役割をしてくれて、そこから豊かな毎日の生活や仕事が生まれて来ているのだとしたら、私たちはとてもラッキーなパートナーに出会えたことになります。


窓際でIKEAの踏み台を組み立てているのが夫。写真手前の黒い物体は我が家のプリンセス犬(コッカプー・11ヶ月)Phoebe。オランダ特有の曇り空で窓の外が真っ白に写ってます。



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